梶原太刀洗水 五名水



昔から鎌倉はあまり良い水にはめぐまれない土地だったため、良水は大変貴重でした。失ってしまったものもあり、とても残念です。文献によって甘露水と不老水が入れ替わっているようです

五名水マップ

銭洗水

銭洗宇賀福神社、通称銭洗い弁天の岩窟に湧く水のことです。
文治元年(1185)の巳の月、巳の日、源頼朝の夢枕に宇賀福神が現れ、西の隠れ里に住む宇賀福神と名乗り、わが泉を汲みて祈ればきっと神仏のご加護があらたかになり、天下は平和になると告げられ、頼朝はすぐに館の西の方にある隠れ里を探させ泉を見つけたといわれています。そしてその水を毎日神仏に供して祈ったところ、人々が平和に暮らせるようになったとのことです。
お金を洗うきっかけになったのは、五代執権北条時頼が巳の日にお参りすることを薦め、金銭をこの水で洗い清めれば不浄の塵垢が消えて、清浄の福銭になるといい、時頼自ら金銭を洗って一家繁栄、子孫長久を祈ったことによるものだそうです。
以来、境内は四季を通して、お金を洗い清めにくる人々でにぎわっています。

2009年9月26日

梶原太刀洗水

十二所から旧道を朝夷奈切道に向って500mほど行ったところの左側に崖にある小さな湧き水が梶原太刀洗水です。
治承4年(1180年)、挙兵し石橋山の戦いで敗れた頼朝が安房に逃れて再挙を図ったときに、一番遅くに2万騎の大軍を率いてやってきた上総広常に対して、頼朝は叱責をしたという話がありますが、頼朝がこの挙兵を成功させたのは、この関東最大勢力の上総広常の力が大きかったようです。
その後、上総広常は幕府内でも勢力を広めていき、頼朝にとっても煩わしい存在になっていったようです。讒言により上総広常に謀反の疑いを懐いた頼朝は、御家人の梶原景時に命じて上総広常を殺させたと言われ、このとき上総広常を討った刀をこの湧き水で洗ったと伝えられています。
敵方であった梶原景時は、石橋山の戦いで山中に隠れていた頼朝を助けたことで、侍所所司となりました。源義経を陥れる讒言などにより、評判は大そう悪かったのですが、その後も幕府内で力をつけてゆきました。 頼朝亡きあと糾弾により鎌倉を追放され、京都に上る途中襲撃にあって一族もろとも滅亡したといわれています。

鎌倉五山第一位の建長寺には景時にまつわる話があります。
三門にて施餓鬼という法会が行われたときのこと、馬に乗った一人の武者が駆け込んできたのですが、法会が終わってしまったことに大そうがっかりとしたところ、哀れに思った蘭渓道隆がその武者のためにもう一度施餓鬼をとりおこなうと、その武者は自分は梶原景時の霊だと名乗って喜んで帰っていったそうです。それ以来施餓鬼が終わったあともう一度施餓鬼をとり行うようになったものが毎年7月15日に行われる梶原施餓鬼です。

2008年12月29日
竿から流れでるようになっている湧き出す辺りに五輪塔が置かれている

金龍水

金龍水のあったとされる辺り

徳川光圀の『鎌倉日記』に「門前ノ池ハ金龍水ト云名水也」と書かれている名水だったようです。残念なことに、道路拡張工事で埋められてしまいました。
昭和の拡張工事後の写真にはまだ井戸枠が写っており、それと比較した結果この写真のポストの右手前にあるタイルの色が違うあたりが 金龍水の場所だと思われます。




2010年6月6日

不老水

不老水があったとされる辺り

建長寺境内にあったとされますが、詳細な場所は不明だそうです。
古地図に載っているとのことですが、我が家にある境内絵図の写真は小さすぎてよくわからないのですが、半僧坊大権現からみて右側にある谷(今は鎌倉学園のグラウンドになっている辺り)にあったとされています。半増坊からその辺りの写真を撮ってみました。
昔この辺りに住んでいた仙人が、この水のおかげでいつまでも若く年をとらなかったと言われています。このことから、別名「千水」や「仙人水」とも言われています。


日蓮乞水

安房から名越の切道を越えて鎌倉に入った日蓮が、この辺りで水をもとめ、杖を地面に突き刺すと清水が突然湧き出したということです。
この水は干ばつでも枯れることがなかったと言われています。名越坂踏切の近くにひっそりとありました。

2008年12月29日
路地にひっそりと日蓮水と書かれた石の柱が立つ

甘露水

甘露水

文献によっては、不老水の代わりに甘露水があげられています。浄智寺門前にある甘露ノ井の水で、蜜のように甘くおいしい水で、不老不死の効能があったと言われていたそうです。







2008年9月4日

五名水番外

霊孤泉(れいこせん)

源頼朝ととても深いつながりがある佐助稲荷神社の境内にある泉で、今でもこんこんと湧いています。
「佐助の稲荷山は往古より麓の田畑を潤す水源の地なり。 生命の基のこの湧水を人々霊孤の神水と称え家々の神棚に供えて 稲荷のご神徳を戴くなり。 今に至るも絶えず沸きいづる霊孤の泉なり。」と書かれています。

2009年9月26日
霊孤泉清涼な水がこんこんと湧いている